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保険のコラム

【教えて!ファイナンシャル・プランナー】vol.3 がん保険は今から入ったほうがいい?

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がん保険は今から入ったほうがいい?《60代の方からのご質問》

ファイナンシャル・プランナー(FP)の黒田尚子さんに教えていただきました。

がんにかかりやすい年齢(がん年齢)は、女性が男性よりも早く40歳くらいから始まります。
50代になると、男性も罹患率が上がりはじめ、50代後半で男性と女性が逆転。年齢が高くなるにつれて上昇し、男性は女性の倍以上になります。

60代は、まさにがんになるリスクが高まるど真ん中。男女とも2人に1人が罹患する確率から考えると、今からでも、がん保険に加入しておいた方が安心でしょう。

ただし、リスクが高いわけですから、保険料も高額になる点が最大のデメリットと言えます。
例えば、
がん診断給付金100万円、入院日額1万円、手術・通院・抗がん剤治療、先進医療を付帯した場合、男性・女性とも保険料は7,000円前後です。
50歳で加入すると、男性5,000円前後、女性4,000円前後の保険料負担で済むことを思えば、「今からは加入できない」とあきらめる方もいるでしょう。


また、ネット記事などで、「60代からのがん保険は不要」といった意見を見かけます。
その理由として「がんの医療費は公的医療保険や高額療養費が適用になれば、経済的な負担は重くない。保険ではなく預貯金でまかなった方が合理的」とのこと。

がん経験者かつFPとして、この意見にはその通りですと頷けますが、「経済的な負担は重くない」という点には同意しかねます。
というのは、がんにかかかるお金は、保険が適用になる医療費以外の費用も多いからです。

とりわけ患者さんやそのご家族から負担に感じたもので良く聞くのが「差額ベッド代(個室料)」です。
厚生労働省のデータ(※)によると、一日当たりの差額ベッド代の平均は6,354円。
ただし、私が入院した東京都内のがん専門病院は3万円でした。しかも、プラス消費税ですから10日入院すれば33万円。

そして、通院のための「交通費」もかさみます。
抗がん剤治療や放射線治療などは通院が中心ですが、治療を受けた後、元気にしゃんしゃん歩いて帰れる人ばかりではありません。

通院のためのタクシー代が、毎月数万円という患者さんもいらっしゃいました。
あるいは、希望する治療を受けるために、遠方から新幹線や飛行機を利用し、付き添いのご家族の分も含めた交通費および宿泊費が定期的にかかる方もいます。
これらはどちらも、公的医療保険の適用外の費用です。


いずれにせよ、保険に加入するタイミングの良し悪しは、保険料が全てではありません。
まず、現在ご加入の民間保険でカバーできないか、預貯金でどれだけまかなえるのかを洗い出した上で、がん保険が必要なのであれば、保険料と給付のバランスを取りながら、今からでも加入をお勧めします。


※厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000672469.pdf


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黒田 尚子さん


ファイナンシャル・プランナー
がんと暮らしを考える会・理事
CNJ認定乳がん体験者コーディネーター

2009年乳がん告知を受け、自らの実体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行っています。
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