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がんは遺伝するの?がんの遺伝についてわかりやすくご説明します!

ガン遺伝遺伝子

病気と遺伝の関係性からがんの遺伝についてまで詳しくご紹介

日本人のふたりにひとりは発症すると言われているがん。現在は、その患者の多さから「国民病」とも呼ばれています。これだけ患者の多いがんですから、ご家族や親戚などの血縁者が、がんを発症したという方も少なくないでしょう。そうすると「もしかしてうちってがん家系?」、「自分はがんにかかりやすい体質?」と、がんと遺伝の関係性について気になる方もいらっしゃるはず。そこで、がんと遺伝についてご紹介します。

病気と遺伝の関係性

家族とは、血縁関係があるもの同士ですと遺伝的な要素を一部共有している可能性があります。しかしながら、それだけにとどまらず、同じ環境で生活をしていると住環境はもちろん、習慣や食生活、経済状況、価値観なども共有することが多いでしょう。例えば、塩辛い料理を好む家庭であれば家族は高血圧になりやすくなったり、砂糖がたっぷりのお菓子を習慣のように食べる家庭であれば家族が糖尿病にかかりやすくなったり、たばこを吸う家族がいると肺がんのリスクが高まったりします。ですので、遺伝的な要因を差し引いても家族にある特定の病気の患者がいる場合は、そうでない方に比べてその病気になる確率が高くなる傾向があるのです。

病気と遺伝子の関連についてですが、まず、遺伝子とは、両親から半分ずつ引き継いだもので、それには「とある病気になりやすい・なりにくい」などの体質にかかわる情報が含まれているものもあります。ただし、生まれもった遺伝子で決定しているのは発症までのスタート地点が、そうでない人よりも病気に近いというだけで、正しい食生活に気をつけて環境的な要因を少なくすることで発症しない可能性も大いにあります

ほとんどのガンは遺伝しない?

多くのがんは生まれてからあとに遺伝子に起こった変異が原因と言われています。そのため、基本的には次の世代に遺伝する、ということはありません。しかし、生まれながらにしてがんに関連する遺伝子に異変があった場合は、次の世代にその異変が受け継がれてしまいます。よって、がんは遺伝する可能もあるのです。

細胞は筋肉や骨、神経、血液などの体の多くの部分を占める「体細胞」と、男性では精子、女性では卵子になる細胞の「生殖細胞」のふたつにわけることができます。体細胞に含まれる遺伝子に、生まれたあとで変異が生じたとしても次の世代に受け継がれることはありませんが、生殖細胞に含まれる遺伝子に変異があった場合は、次の世代に受け継がれる可能性があります。

遺伝性の⾼いがんとは?

ヒトの染色体は、半分は父親から、半分は母親から受け継がれています。もしも卵子か精子がもっている遺伝子に変異があると、子どもはその変異を受け継いでしまう場合があります。ただし、片方の親から変異を受け継いだとして、すぐにがんにかかるわけではないのです。片方の遺伝子が変異によって機能しかなったとしても、もう一方の遺伝子が正常であるならば、その機能を補ってくれることがあります。ですが、もし何らかの原因によってもう片方の遺伝子にも変異が起こったら両方の遺伝子が正常に機能することが難しくなります。そして、がんになる確率が高くなると考えられています。

がんの中でも乳がんは、遺伝性のがんと言われています。その割合は、約一割。遺伝性の乳がんを発症した患者は、「BRCA1」もしくは「BRCA2」と呼ばれる遺伝子に変異が発見されることが多々あります。この遺伝子からできるたんぱく質には、DNAに生じた傷を修復する働きがあるとされていて、この遺伝子が正常に機能しなくなると遺伝子変異が取り除かれず、蓄積してしまいます。そして、がんを引き起こす原因となるのです。もちろん、「BRCA1」や「BRCA2」に変異がある全員ががんを発症するわけではありません。しかしながら、変異がない人よりもがんを発症するリスクが高くなることが研究によりわかっています。

ほかにも、遺伝性のがんを引き起こす原因となる遺伝子として、大腸がんや十二指腸がんなどの家族性大腸腺腫症の原因となる「APC」や、網膜芽細胞腫を引き起こす「RB」なども知られています。遺伝性がんであるか否かは、遺伝子検査をすることによって判断が可能です。

遺伝学的検査は、医療機関で調べることができます。遺伝学的検査は、遺伝子による生まれつきの体質を調べる検査です。これにより、一生変わらない体質であることや、将来かかるかもしれない病気の可能性、血縁者への遺伝の可能性の「情報」がわかることも。これらの情報を知って遺伝性のがんの体質があるかどうかを知ることは、適切な健康管理をして食生活を正し、定期的な検査により自身や家族のがん予防、もしくは早期発見、手術や抗がん剤治療の選択の手立てになるでしょう。けれども、自身ががん患者になる可能性や、家族への遺伝の可能性を知ってしまうことは、人によっては心の負担になることもあります。検査を受けるかどうかは、場合によっては家族と話し合ったり、しっかり考えてシミュレーションをしてから決断することをおすすめします。