保険のコラム
「がんに備えたいとき、医療保険だけで大丈夫かしら…?」
そんな不安を感じる人は少なくありません。
ファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんに教えていただきました。
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そもそも医療保険は、おもに病気やケガでの入院や手術などに備えられる保険。
一般的に、入院1日につき5,000円や1万円など、契約時に決めた入院給付金が受け取れます。
最近では、入院期間が短期化していることもあって、5日以内の入院は、まとめて5日分を一時金として受け取れるなど、短期入院に手厚いタイプも増えてきています。
医療保険の特徴は、病気やケガの治療を目的とした入院や手術であれば、病気の種類問わず給付の対象となること。
もちろん、がんも病気の一つですから、入院や手術をすれば、医療保険から給付金は受け取れます。
ただし、がんに限らず入院期間は年々短くなっており、私が2010年に乳がんを摘出する手術を受けたときの入院期間は18日間ほど。
あれから10年以上が経過し、厚生労働省の患者調査(2017年)によると、乳がんは平均11.5日。
悪性新生物(がん)全体でも平均17.1日と、おおむね2週間程度で退院します。
しかし、他の病気と違って、がんの場合は、手術・入院は、治療の入り口に過ぎません。
退院後に、抗がん剤や放射線、ホルモン療法などが月単位、年単位で続くのです。
そして、これらの治療は、通院が中心となります。
ですから、加入している医療保険に、通院特約などを付加していなければ、「予想していたよりも給付金の額が少なかった」という可能性もあります。
もちろん、医療保険に、がん診断給付金特約や抗がん剤治療特約、先進医療特約など、がんに対する保障を上乗せして備えることもできます。
ただし、保障範囲が広くなる分、保険料も高くなりがちに。
また、医療保険は、基本的に入院をベースに設計されているため、治療への給付の可否は、入院がトリガー。
つまり、まったく入院せず、通院が中心になった場合、給付金が受け取れない商品がほとんどです(入院の有無を問わない商品もあります)。
さらに、がんに対する保障のバリエーションについては、がん保険の方が、選択肢の幅は広く、見直しなど、カスタマイズもしやすいでしょう。
いずれにせよ、ポイントは何の保障を重視したいか次第。
がんを含めた病気を幅広く備えたいなら「医療保険」、治療が高額化・長期化しがちながんに特化して備えたいなら「がん保険」をお勧めします。
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黒田 尚子さん
ファイナンシャル・プランナー
がんと暮らしを考える会・理事
CNJ認定乳がん体験者コーディネーター
2009年乳がん告知を受け、自らの実体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行っています。
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