保険のコラム

がん検診ってどうやって受けるの?検診についてと受け方を解説します

ガン早期発見検診

現在、わが国ではがんが死亡原因の第1位です。現代社会において日本人の2人に1人はがんになると言われています。がんはある程度進行するまで自覚症状が現れにくく、気付くのが遅れてしまう場合があり、そのまま命を落とすケースも珍しくありません。しかし、医学の進歩により、がんの早期発見、早期治療が可能となりつつあります。がん検診には、メリットとデメリットがありますが、正しい治療を正しく行うことで、がんによる死亡率を減少させることができます。

がんによる死亡率を減少させるには、がんに罹らないようにすることが重要です。がんは遺伝すると言われることもありますが、実際のところ遺伝によるがんは僅か5%程度と少なく、むしろ、喫煙や食生活、及び運動等の生活習慣が原因である場合が多く、これらに気をつけて発がんリスクを下げなければなりません。しかし、生活習慣の改善を心がけたところで、リスクをゼロにすることはできません。 そこで重要となるのが、がん検診です。 医学の進歩等により、がんは、現在、約6割の方が“治る”ようになりました。特に進行していない初期の段階で発見し、適切な治療を行うことで、非常に高い確率で治癒します。従って、そうしたがんを“初期”の段階で見つける「がん検診」は、がんの死亡率を下げるのに非常に有効だと考えられます。

死亡率が高いがんは、肺がん、大腸がん、胃がんで、女性の乳がんや子宮頸がんの発症も年々若年化傾向にあります。早期発見が非常に重要となるがんについて、検診内容や検査の内容などを紹介します。日本のがん検診には市町村などの自治体主導の住民検診に代表される「対策型検診」と、人間ドックなどの「任意型検診」があります。

・対策型検診 / がん死亡率の減少を目的として実施されます。公的な予防対策として行われるため、費用は無料か少額の自己負担で済みます。市区町村以外でも職域・医療保険者等の保健事業として行っているケースもあります。

・任意型検診 / 医療機関などが任意で提供する医療サービス。基本的には全額自己負担となります。様々な検診方法があり、中には有効性の確立していない検査方法が含まれる場合もありますが、個々の目的や好みに合わせて検診を選択できるというメリットもあります。

国が推奨するがん検診は5種類

がん検診は「要精検」「精検不要」を判定して「要精検」の人を精密検査で診断します。がん検診は、「がんがある」「がんがない」ということが判明するまでの過程のことを指します。がん検診を受けて「精検不要」の場合は次回の検診を受診することになりますが、「要精検」の場合は、精密検査を受診して必要に応じた治療を行います。「精密検査」を受診して「異常なし、または良性の病変」であった場合は次回の検診を受診します。この検診によってがん死亡率の減少が検証されています。国が推奨するがん検診は次の5種類です。
胃がん検診 / 子宮頸がん検診 / 肺がん検診 / 乳がん検診 / 大腸がん検診

昭和57年度より市区町村が主体となり検診を行っています。最初は「胃がん検診」、「子宮頸がん検診」のみでしたが、現在では検診対象となるがんの種類が追加され「胃がん検診 /問診及び胃部エックス線検査又は胃内視鏡検査のいずれか」「子宮頸がん検診 /問診、視診、子宮頸部の細胞診及び内診」「肺がん検診 /問診、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診」「乳がん検診 /問診及び乳房エックス線検査(マンモグラフィ) ※視診、触診は推奨しない」「大腸がん検診 / 問診及び便潜血検査」の5種類が行われています。がんにはさまざまな種類がありますが、厚生労働省は、この5つのがんに対し、定期的にがん検診を受けることを推奨しています。これらのがんは、患者さんの割合や死亡率が高い一方、がん検診を行うことで集団の死亡率を下げる効果があることが確認されています。

全国指定の医療機関で受けることができます

市区町村などの自治体から委託を受けた医療機関などで検診を受けることができます。これらの検診は、対象となるどなたでも受診することが可能です(対象となる年齢や実施時期、検査を行う場所、費用負担は自治体によって異なる。)詳しくは、お住まいの自治体のがん検診担当窓口にお尋ねください。

がん検診の案内が市区町村から郵送されてくることもありますが、自分で情報を集めないと検診を受けられない場合もあります。また、5種類のがん検診が実施される期間にはばらつきがあり、検診を受けられる日時が限定されている場合も多く、すべての検診が一度に受けられない自治体もあります。お住まいの市区町村でがん検診がどのように行われているかチェックしてみてください。各自治体からのがん検診の案内は郵送で送られる書面だけではなく、ホームページや広報誌にも記載されています。

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うこと

無症状のうちに、初期の段階でがんを発見するために有用な方法が検診です。無症状で発見されるがんは進行していない場合が多く、早期に治療することで、がんの死亡率を軽減することができます。一方、症状を感じてから受診した場合には、がんが進行している可能性もあり、治すことができない場合も多くあります。がん検診では、がんになる前の病変が発見されることもあり、子宮頸部異型上皮、大腸腺腫(ポリープ)等の前がん病変は、それを治療することでがんになることを防ぐことができます。

がん検診を受診して、実際にどれくらいの方ががんにかかっていたのか、毎年、厚生労働省が調査を実施しています。5つの検診のなかで、がんが発見される割合が多いのは「乳がん検診」です、次いで「大腸検診」、「胃がん検診」となっています。がん検診を受けた方のうち、要精密検査となった方は1.53~6.84%で、さらにそのうち1.50~4.15%の方からがんが見つかっています。「検診」を受けていたからこそ、がんを発見することが出来ました。未受診の方も「もしかして」を念頭にがん検診の受診をおすすめします。(とはいえ、検診ですべてのがんが見つかるわけではありません。自覚症状の無いうちに「がん」を発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡率を減少させることががん検診の目的です。検診でがんがすべて見つかるわけではないことを理解したうえで受診してください。)