保険のコラム

がんのステージ毎の特徴や治療法を解説します

ガンステージ上皮内ガン早期発見治療

がんの進行がどのくらいかを判定するための基準を「ステージ」と言います。メディアでもこの表現が一般的になってきましたが、とはいえ「ステージ2」と言われても実際にはどの程度の進行具合なのかわからない人も多いのでは。今回はそれぞれのステージの特徴や、主な治療方法について解説します。

がんのステージとは

「ステージ」は「病期(びょうき)」と呼ばれることもあります。がんは国際対がん連合(UICC)の「TNM分類」によって、進行度に応じて基本的にステージ0からステージ4までの5つに分類されます。0期が初期段階で、4期が最も進行している状態を言います。

ステージ毎の特徴

がんは、ステージが進行するほど生存率が低下する病です。ステージ1であれば、多くのがんにおいて5年生存率が80パーセントを超えると言われていますが、どのがんであってもステージが進むほど5年生存率が低下していきます。ステージ3からステージ4に移行すると、多くのがんで5年生存率が急激に低下します。しかしながら、前立腺がんや甲状腺がんでは、ステージ4でも5年生存率が50パーセントを上回るがんもあるので、ステージ4でも必ずしも「余命わずか」ということではありません。


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がんのステージの判定は、がんの大きさや広がり、リンパ節への転移の有無、ほかの臓器への転移という3つの要素を組み合わせて判定されます。ステージの分類は下記の5つです。

ステージ0

がん細胞が上皮細胞内にとどまっている状態で、リンパ節への転移はありません。
上皮内ガン(上皮内新生物)は、 ステージでいえばこのステージ0期にあたり、 上皮内で見つかったがんの治療は比較的短期間で済むと言われています。

ステージ1

がん腫瘍がやや広がっているけれど、筋肉層でとどまっている状態で、リンパ節への転移はありません。

ステージ2

リンパ節への転移はないものの、筋肉の層を超えて浸潤している状態。もしくは、腫瘍は広がっていないけれども、リンパ節への転移が見られます。

ステージ3

がん腫瘍が浸潤しており、リンパ節への転移もある状態です。

ステージ4

がんが初めにできた原発巣を超えて、ほかの臓器にも転移している状態です。

ステージを知ることで最適な治療を

がんの治療法は、ステージに基づいて決定します。一般的な治療法は、「手術療法」、「化学(薬物)療法」、「放射線療法」の3つ。これらは「がんの3大療法」、「標準治療」と呼ばれています。3大療法は、エビデンスとも言われる科学的根拠を基に実施され、場合によってふたつ以上の療法を組み合わせることも。では、それぞれの療法について、詳しく解説しましょう。

手術療法

手術療法は、がんの病巣を切除して取り去る治療法のことを言います。病巣の周辺組織やリンパ節への転移が見られる場合は、一緒に切除します。早期のがんはもちろん、ある程度進行しているがんであっても切除が可能な状態であれば、積極的に手術療法が選ばれます。

手術療法のメリットは、腫瘍が一気に切除できること。さらに、検査では発見できないごく小さな転移がなければ、完治の可能性が高いことにあります。しかし、体にメスを入れるため、創部(傷)の治癒や、全身の回復にはある程度時間がかかります。また、切除した部分によっては、臓器や体の機能が失われるリスクも。最近はこうしたデメリットを避けるために、切除する範囲をできるかぎり最小限にとどめる縮小手術や、内視鏡と呼ばれる小型カメラを用いた手術など、体への負担が少なくてすむ手術が増えています。

化学療法(薬物療法)

主に抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、がん細胞の増殖を抑えたりする療法が化学療法です。抗がん剤の投与は、点滴や注射、内服で行われます。血液を通して全身に抗がん剤を巡らせるので、ごく小さな転移にも効果が期待できます。だたし、その一方で脱毛や倦怠感、しびれ、吐き気などの副作用があったり、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害を避けるのが困難だったりするので、患者さんにとってはつらい治療になってしまいます。

しかし、近年は副作用を和らげたり、白血球の減少を抑えたりする薬剤の開発などによって日常生活に支障が起きない程度に症状を緩和できるケースも。また、がん細胞だけに作用する、分子標的治療薬の開発もされていて実用化が進められています。

放射線療法

放射線療法とは、がんの病巣部に放射線を照射し、がん細胞を死滅させる局所療法のことを言います。治療前の検査技術の向上や、照射技術の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測定し、病巣部分だけに集中的に照射することが可能になってきました。それによって効果も格段に上がってきています。

また、体の外側から放射線を放射する外部照射以外にも、放射線を放出する物質を針やカプセル内に閉じ込めて病巣部に挿入する「密封小線源治療」や、放射性物資を注射や内服によって投与する「放射性同位元素内用療法」など、治療のバリエーションも増えてきています。


例えば、大腸がんであれば、がんが大腸の壁にどの程度入り込んでいるかの「深達度」、周囲組織への広がり方「浸潤の程度」、リンパ節への転移の有無、ほかの遠隔臓器(肝臓や肺など)への転移の有無などにより、ステージごとに治療方法が異なります。

大腸ガンのステージ0・1なら、内視鏡治療。深部への浸潤が見られるステージ1、ステージ2・3ですと、開腹手術や腹腔鏡手術などの外科手術、および手術後の抗がん剤治療や放射線治療が行われます。ステージ4になると対症療法、緩和手術、抗がん剤治療などの化学療法、放射線治療が実施されます。

例えがんにかかってしまっても、ステージごとの治療法をきちんと理解しておけば、計画的な治療を行うこともでき、安心感も得られることでしょう。とはいえ、がんは早期発見がなによりも大切。医療技術の進歩にともなっていまやがんは「治る病気」と言われていますが、それでも早いステージで発見できれば、完治の可能性も格段にアップします。